箱の中の羊のロケ地がどこで撮影されたのか、観終えてから気になっている方は多いはずです。是枝裕和監督のオリジナル映画『箱の中の羊』は、亡くした息子そっくりのヒューマノイドを迎えた夫婦の物語。箱の中の羊のロケ地は藤沢市を中心に、鎌倉・広島・御茶ノ水まで広がっていました。
この記事では、すでに観た人もこれから観る人も、あのワンシーンの空気をもう一度たどれるように、藤沢市が公式に発表した箱の中の羊 ロケ地マップの掲載スポットや、ポスタービジュアルになった広島の巨木まで、確定した撮影場所だけを並べます。住所・アクセス・撮影の経緯まで、確証の取れた一次情報をもとに整理しました。
『箱の中の羊』の主なロケ地(確定分)
| エリア | ロケ地 | 確認元 |
|---|---|---|
| 神奈川・藤沢市 | 新江ノ島水族館/フラワーガーデンハセガワ ほか計5スポット | 藤沢市公式ロケ地マップ |
| 広島・庄原市 | 熊野の大トチ(国の天然記念物) | 是枝監督インタビュー・報道 |
| 東京・御茶ノ水 | レモン画翠 御茶ノ水本店 | 店舗公式の撮影協力告知 |
| 神奈川・鎌倉 | 建築家夫婦の自邸「多重の家」 | 建築・映画関連の解説 |
公開は2026年5月29日。第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の正式出品作で、主演は綾瀬はるかと千鳥・大悟が務めます。順に見ていきます。
箱の中の羊のロケ地・藤沢市の5スポットはどこで撮影された?
『箱の中の羊』のロケ地で最も情報がそろっているのが、神奈川県藤沢市です。藤沢市は2026年5月15日、観光課が監修した「映画『箱の中の羊』藤沢市ロケ地マップ」を2万部発行しました。これは自治体が公式に撮影場所を認めた一次情報で、市内5スポットが掲載されています。
公式情報:マップに載った藤沢市内のロケ地は、新江ノ島水族館、フラワーガーデンハセガワ、Fujisawa サスティナブル・スマートタウン、御殿辺公園、鷹匠こどもの家の5か所です。配布は藤沢市役所観光課、藤沢市観光センター、片瀬江の島観光案内所、上映館の一部で行われています。
| 藤沢市のロケ地・基本データ | |
|---|---|
| 新江ノ島水族館 | 藤沢市片瀬海岸2-19-1/小田急片瀬江ノ島駅から徒歩約3分 |
| フラワーガーデンハセガワ | 藤沢市稲荷の生花店/藤沢市公式マップ掲載 |
| Fujisawa SST | 藤沢市辻堂元町の環境配慮型タウン |
| 御殿辺公園 | 藤沢市朝日町/藤沢駅から徒歩圏 |
| 鷹匠こどもの家 | 藤沢市鷹匠町の児童施設 |

海辺の水族館から内陸の生花店、最新のスマートタウンまで、藤沢の表情を幅広く拾っているのが特徴です。是枝作品は生活の手触りを丁寧に映すので、生花店や児童施設といった日常の場所が選ばれたのも、夫婦の暮らしを地に足の着いた形で描くためだったのかもしれません。
新江ノ島水族館で『箱の中の羊』のどんな場面が撮られたのか
新江ノ島水族館(えのすい)は、藤沢市片瀬海岸にある相模湾を望む水族館です。藤沢市公式ロケ地マップに掲載され、館の公式X(@enosui_com)もマップへの掲載を告知しています。ヒューマノイドの「息子」と過ごす家族の時間を描くうえで、水槽の青い光に包まれる空間は象徴的に作用していそうです。
えのすいは小田急片瀬江ノ島駅から徒歩約3分、江ノ電江ノ島駅からは徒歩約10分。クラゲ展示やイルカショーで知られ、映像作品の舞台としてもたびたび使われてきました。海辺の立地から考えると、ガラス越しに揺れる水の表情を借りて、亡くした子と向き合う夫婦の心情を映そうとしたのかな、とも感じます。
フラワーガーデンハセガワと残り3スポットで藤沢の日常を歩く
フラワーガーデンハセガワは藤沢市稲荷にある生花店で、こちらも藤沢市公式マップに名前が挙がっています。Fujisawa SSTは辻堂元町の環境配慮型タウン、御殿辺公園は藤沢駅近くの市民公園、鷹匠こどもの家は鷹匠町の児童施設です。
5スポットはいずれも藤沢駅・片瀬江ノ島駅周辺にまとまっており、半日あれば徒歩と江ノ電で回れる距離感です。生花店・公園・児童施設という生活圏の場所を選んでいるあたりに、是枝監督が描く「ありふれた日常の中の喪失と再生」というテーマが透けて見える気がします。
ポスターのあの巨木は広島・熊野の大トチだった
『箱の中の羊』のロケ地で物語のクライマックスを担うのが、広島県庄原市の「熊野の大トチ」です。親子が大きな木を見上げるポスタービジュアルのシーンが、この巨木で撮影されました。国の天然記念物に指定された名木で、苔むした幹が神秘的な空気をまとっています。
公式情報:是枝監督はインタビューで「物語の最後に”森”を出したいなと思っていた。単純に緑が美しいというだけじゃなくて、いろんな象徴としての森を出したかった。その中心に大きな木が欲しい」と語っています。白神山地や屋久島、富士山の樹海まで候補に挙げたうえで、この熊野の大トチにたどり着いたとのことです。
| 熊野の大トチ・基本データ | |
|---|---|
| 所在地 | 広島県庄原市 |
| 指定 | 国の天然記念物(トチノキの巨木) |
| アクセス | 中国自動車道・庄原ICまたは東城ICから車で約50分 |
| 登場場面 | 親子が木を見上げる、ポスタービジュアルの場面 |

熊野の大トチで起きた「キノコ」のハプニングと脚本の書き直し
公式情報:是枝監督は撮影での偶然も明かしています。1日目の撮影後、中1日を置いて2度目に訪れると、前夜の雨で「それまで全くなかった”キノコ”が生えていて、木がキノコに覆われていた」状態だったそうです。
監督は「キノコが撮れたので、逆算して戻って、キノコにまつわるセリフを加えて書き直した」と語っています。自然の予期せぬ変化をそのまま物語に取り込む――この柔軟さは、ドキュメンタリー出身の是枝監督らしい現場判断だといえます。撮影地そのものが脚本を変えた、めずらしいエピソードです。
熊野の大トチは中国自動車道の庄原ICや東城ICから車で約50分。山あいにあるため、巡礼を考えるなら車でのアクセスが現実的です。天然記念物なので、根や苔を踏まないよう周囲の保護に配慮しながら見上げたい場所です。
御茶ノ水のレモン画翠と鎌倉の「多重の家」も撮影に使われた
『箱の中の羊』のロケ地は、東京・御茶ノ水と神奈川・鎌倉にも及びます。御茶ノ水では老舗の画材店「レモン画翠 御茶ノ水本店」が撮影に協力しました。店舗が公式に「映画『箱の中の羊』撮影協力いたしました」と告知しており、店のロゴが映るカットがあると案内しています。
レモン画翠は建築・デザイン系の画材に強い老舗で、JR御茶ノ水駅・聖橋口からすぐの立地です。工務店2代目の夫・健介や、建築家として描かれる妻・音々という設定を踏まえると、図面や製図道具にまつわる場面でこの画材店が選ばれたのかもしれません。
| レモン画翠 御茶ノ水本店・基本データ | |
|---|---|
| 所在地 | 東京・御茶ノ水(JR御茶ノ水駅 聖橋口すぐ) |
| 業態 | 建築・デザイン系に強い老舗の画材店 |
| 見どころ | 店舗ロゴが映るカット |
鎌倉「多重の家」は建築家夫婦が実際に暮らす自邸
もうひとつ語られているのが、鎌倉にある「多重の家」と呼ばれる住宅です。建築設計事務所「風景研究所」を主宰する小松大祐氏・大島碧氏夫妻が実際に暮らす自邸が、作中の家として使われたと解説されています。劇中で重要な「家」を、本物の建築家の住まいで撮るという選択です。
ここは現役の個人宅のため、住所は公開されていません。巡礼の対象として探したり、近隣に立ち入ったりするのは控えるのがマナーです。建築をテーマに据えた是枝作品にとって、設計思想の宿った実在の家を選んだことには物語的な必然性があるように思えます。

是枝監督はなぜ藤沢・広島・鎌倉を選んだのか
『箱の中の羊』のロケ地を並べると、藤沢の海と日常、広島の原始的な森、鎌倉の生活感ある自邸という対比が見えてきます。是枝監督が「象徴としての森」を求めて全国を探した末に熊野の大トチを選んだ経緯からも、場所を物語の意味で選ぶ姿勢がうかがえます。
海辺の水族館やスマートタウンといった「近未来の日常」と、天然記念物の巨木という「変わらない自然」。ヒューマノイドという最先端の存在を扱いながら、最後に古い森へ還っていく構造は、ロケ地の選び方そのものに込められていそうです。喪失からの再生を描くために、人工と自然のコントラストを場所で表現したのかな、と感じます。
箱の中の羊のロケ地を巡るアクセスと回り方
『箱の中の羊』のロケ地巡りは、エリアごとに分けて計画するのが現実的です。藤沢市の5スポットは徒歩と江ノ電でまとまって回れ、御茶ノ水のレモン画翠は都内で立ち寄りやすい一方、広島・庄原市の熊野の大トチは別日に車で向かう前提になります。
| エリア別・巡礼の目安 | |
|---|---|
| 藤沢コース(半日) | 新江ノ島水族館→御殿辺公園→フラワーガーデンハセガワ。江ノ電・徒歩中心 |
| 御茶ノ水(短時間) | レモン画翠 御茶ノ水本店。JR御茶ノ水駅 聖橋口すぐ |
| 広島・庄原(1日) | 熊野の大トチ。庄原IC/東城ICから車で約50分 |
藤沢市役所観光課などで配布中の公式ロケ地マップ(2万部)を入手すると、市内5スポットの位置関係が一目で分かります。新江ノ島水族館を起点に海沿いを歩けば、作中の藤沢の空気を効率よくたどれます。
注意したいのは鎌倉の「多重の家」です。現役の個人宅なので、所在地を特定して訪ねる行為は避けてください。熊野の大トチも天然記念物のため、苔や根を傷めないよう足元に気を配りたい場所です。すでに訪れた人もこれから行く人も、撮影に協力した場所への敬意を忘れずに巡りたいところです。

思い出は、ロケ地に宿る。あの夫婦が見上げた一本の木の前に立てば、スクリーンで味わった静かな余韻が、もう一度よみがえるはずです。新しい撮影地の情報が確認でき次第、この記事に確定分として追記していきます。

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